ものづくりインタビュー(職人vol.1)鍛冶工房 金床 秋田和良 様

投稿者 : 土谷茉亜紗 on

大手のアウトドアメーカーが出しているギアはもちろん不動の人気を誇っていますが、一方で個人で制作されているギアもまた違った魅力がありますよね。

そこで今回から新企画!キャンプギアを作られている職人さんにお話を伺う『ものづくりインタビュー』

第一回目は、鍛冶工房 金床秋田和良 様です。
秋田様は広島県福山市曙町でお一人で工房を開き、日常で使えるようなものからキャンプにも使える各種道具類を、一つ一つ手作業で少量ずつ制作されています。
FieldBank ONLINE STOREでは、キャンパー向けに焚火用の鍛造フライパンをお取り扱いさせていただいております。

鍛冶工房 金床 焚き火用鍛造フライパン

鍛造フライパンのみならず、どのアイテムも鉄の表情の美しさを引き出す為に、大部分を手作業で丁寧に作られているということで、そのこだわりをより深く掘っていきたいと思います!

目次

  1. 秋田様が金床を始められた経緯
  2. 鍛造の魅力・難しさ
  3. 鍛造フライパン(焚火用)を作る工程
  4. 鍛冶工房 金床の鍛造フライパンのこだわり

1.秋田様が金床を始められた経緯

秋田様は、大学・大学院と芸術学部に在籍し、鍛造した鉄の美しさに出会ったそう。そこから鉄鍛造の作品制作を専攻するようになります。その後、2012年に縁あって野鍛冶の工房を引き継ぎ、道具作りをメインに鍛冶工房 金床を開業されました。

鍛造フライパン 制作の様子

鍛冶工房 金床の作品はどれも独自の味わいを持っているのが特徴です。このスタイルにどのようにして辿り着いたのか、秋田様にお聞きしたところ、

「自分のスタイルがはっきりしているとは思っていませんが、道具を作る場合、なるべく美しい形(自分なりの感覚ですが)で、且つできれば鉄鍛造ならではのディテールを生かした形にまとめあげようと心を砕いています。その試行錯誤の繰り返しの結果、今の自分になっていると思います」とのこと。

真摯に鉄に向き合っていらっしゃることで、それが作品にも反映されているのだと感じました。

2.鍛造の魅力と難しさ

鉄の加工方法には大きく分けて鍛造と鋳造の二つがありますが、鍛冶工房 金床は鍛造という方法で制作されています。その鍛造の魅力について秋田様は、熱間鍛造することによって引き出される鉄特有の美しい表情を一番近くで見れることだと仰います。

熱間鍛造

また、狙った形状をうまく作り出せたときの嬉しさや、逆に思いがけず面白い形状や鉄の表情を引き出せた時の感動も魅力なのだそう。

鉄 加工

このように鍛造には魅力が詰まっていますが、それを行うのは簡単なことではありません。秋田様曰く、

「鉄は常温だと非常に硬いので、形を変えるために加熱して柔らかい状態のうちに叩いて変形させなければなりません。私が扱っているような小さめの材料では加熱しても冷えて硬くなるまでの時間が短いので素早くかつ正確に固定したり叩いたりする必要があります。これだけのことが案外難しく感じます。また、一度の加熱で冷えるまでに加工できるのはハンドルなど1つのパーツのうちさらに一部分づつなので、繰り返し加熱して叩かなければならず、手間と時間と燃料を要します。」

繊細で且つスピード勝負な作業なのですね。その手間や苦労に脱帽します。

鉄 加熱 加工

3.鍛造フライパン(焚火用)を作る工程

次に、鍛造フライパン(焚火用)の制作工程についてお聞きしました。
制作工程は以下の順に進んでいきます。


①手槌による鍛造

まずパン部分になる円盤を900度程度まで加熱し、ハンマーで加熱した鉄板を叩き、いい感じに凹凸をつけます。

手作業 鍛造

熱間プレス成形

協力企業様の工場の炉で真っ赤に加熱。ご本人の目で焼き加減を吟味します。

熱間プレス成形

一枚ごとの個体差を鑑みた材料のセッティングや温度管理などは重要な部分なので、ご自身の目で見て手作業で行っていらっしゃるとのこと。

手作り 鍛造フライパン

機械の強い力と精度の高いストロークで手間暇かけた鉄板がフライパンの形になり、これにより品質を高い所で安定させることができています。

鍛造フライパン 制作の様子

パン部分のフチは鍛造後は角が立っており酸化膜も相まって手を傷つける恐れがある為、フチを滑らかに削っているのだそう。

↓削る前

鍛造フライパン 制作の様子

↓削った後

鍛造フライパン 制作の様子

③ハンドル鍛造

鉄棒を一本分づつに切り出して、焚火用ハンドルの形に叩いて成形します。

鍛造フライパン ハンドル制作の様子

※上の画像は、通常のフライパンのハンドルを鍛造している様子です。

④組み合わせ

ハンドルが出来たら、パン部分とハンドル部分の接合部をフィッティングし、リベットを用い接合。ハンドル角度は納得がいくまで精密にチューニングします。

鍛造フライパン ハンドル

焚火用鍛造フライパンの長さや角度については、焚火を囲いながらの使用にマッチするようFieldBankと話し合いながら設計してくださいました。焚き火のようにキッチンよりも低い位置に熱源がある状況に対応できるようになっています。

鉄フライパン レシピ ローストビーフ

先端がフック状になっており、焚火ハンガーなどにひっかけられるのもポイント。

鉄フライパン フック状 焚き火ハンガー

⑤仕上げ

ここまでの作業で生じた汚れや剥がれかけているスケール(酸化膜)を除去。きれいにしたらもう一度加熱し、流通中の錆を防ぐために植物由来のワックスを溶かして塗り付けます。
(※使用前にはシーズニングによってパン部分のワックスは除去してください。ハンドル部分はそのままご使用ください。)  

不備がないかチェックして完成です!

鍛冶工房 金床 焚き火用鍛造フライパン

約3mm厚・重さ約1.7kg・底の直径約180mm・口の直径約240mm。ハンドルには鍛冶工房 金床の刻印。

4.鍛冶工房 金床の鍛造フライパンのこだわり

最後に、鍛造フライパンのこだわりについてお聞きしました。鍛造フライパンの購入を検討されている方は、是非ここに注目してみてくださいね。

  • 鍛造した鉄の肌合いの美しさや叩いた槌目、リベットを用いた接合など熱間鍛造ならではの生き生きとしたディテールを盛り込んむようにしていて見て楽しいものになるよう心がけている。

鉄フライパン こだわり 日本製

  • ハンドルについては、キッチンのコンロではなく地面に近い高さの焚火での使用を念頭に置いたハンドルの取り付け角度で長さはやや長めに作っている。

焚き火用鍛造フライパン ハンドル長さ

↑手前が焚火用の鍛造フライパン。後ろにあるのが、初期キッチン用モデルの鍛造フライパンです。比較すると長さと角度の違いは一目瞭然。

  • 約3ミリ厚の鉄板(厚みは一定ではなく叩いているので部分によって厚みにはムラがある)である程度の蓄熱性があり焚火の熱のムラを穏やかに食材に伝えるので美味しく調理できる。
  • フチの立ち上がりには若干深さがあり汁気を伴う調理にも利用可能。

焚き火台 料理 キャンプ

鉄の質感がダイレクトに伝わってくるのに加え、こういった使いやすさへのこだわりがまた美しさとなって現れているのでしょう。

ハンドメイドのアイテムをキャンプスタイルに取り入れることでまた格別な楽しみ方ができるのではないでしょうか。
ぜひ、鍛冶工房 金床 様のアイテムをチェックされてみてくださいね!

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Profile(職人vol.1)鍛冶工房 金床 秋田和良 様

広島県生まれ
2010 富山大学芸術文化学部デザイン工芸コース卒業
2012 広島市立大学芸術学部芸術学研究科造形計画専攻博士前期課程修了
2012 広島県山県郡安芸太田町加計で「鍛冶工房 金床」をはじめる。同町河野鉄工所の河野忠行氏に実践的な野鍛冶の仕事を学ぶ。
2013〜失敗を重ねながら、少しづつできることを増やしクオリティーを上げつつ今に至る。
2018 広島県福山市曙町に移転

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工房所在地:〒721-0951 広島県福山市曙町4−22−11
HP:https://nokaji.jimdofree.com/
STORE:https://nokaji.stores.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/akitakazuyoshi/